コンプライアンス対策

整骨院が保健所から指導を受けたときの対応手順|再発防止と行政書類の書き方

著者: インフォサクセス(Infosuccess) 2026年8月4日 公開 2026年8月6日 更新 読了 約21分
整骨院の保健所指導への対応手順を示したバナー。チェックリストと再発防止・書類対応
⚠️ この記事を読むべき方

整骨院・接骨院の経営者で、以下のいずれかに当てはまる方:

「保健所から電話が来た。どう対応すればいいか分からない」「文書で指導が来たが、何をどこまで直せばいいのか」「改善報告書の書き方が分からない」

保健所からの指導は、多くの院長が人生で一度も経験しない出来事です。だからこそ、連絡が来た瞬間の対応でその後が大きく変わります
本記事では、指導が来る経路から、初動の5ステップ、内容別の対応手順、改善報告書のテンプレート、再発防止の体制づくりまでを実務手順として解説します。

1. 保健所の指導はどこから来るのか|3つの経路

保健所の指導が来る3つの経路を示した図
図1: 保健所の指導が来る3つの経路。最多は同業他院からの通報。

保健所が特定の施術所を狙って調査することは、実際にはほとんどありません。何らかのきっかけがあって初めて動くのが一般的です。経路を理解しておくと、リスクの所在が分かります。

経路1: 第三者からの通報・相談

もっとも多い経路です。通報者として想定されるのは次のような立場の人です。

通報者 動機 頻度の目安
同業他院 近隣院の広告が明らかに違反しており、不公平だと感じた 多い
利用者 広告の内容と実際の施術が違うと感じた 中程度
医療機関 業務範囲外の施術を受けた患者が来院した 中程度
業界団体 会員からの相談を受けて自治体に照会 少ない
⚠️ 同業からの通報が最多という現実

意外に思われるかもしれませんが、通報経路として最も多いのは同業他院です。近隣に新規開業した院が派手な広告を出した、あるいは自院が指導を受けた後に周囲を調べた、といった経緯で起こります。
「うちだけ真面目にやっても意味がない」という発想は危険で、むしろ真面目にやっている院が通報する側に回るのが実態です。

経路2: 自治体の巡回・実地確認

自治体によっては、定期的に管内の施術所を巡回しています。確認されるのは、開設届の内容と実態が一致しているか、屋外看板に問題がないかといった点です。

頻度は自治体によって大きく異なり、数年に一度というところもあれば、開設後1年以内に必ず一度訪問するところもあります。

経路3: 開設届・変更届に関連した確認

開設届を出したとき、移転や施術者の変更で変更届を出したときに、あわせて広告物や掲示物の確認を受けるケースがあります。届出のタイミングは行政と接点ができるため、事前に整えておくべき時期です。

💡 開業・移転・スタッフ変更の届出を出す前に、ホームページ・看板・院内POPを一通り点検しておくと、その場で指摘を受けるリスクを下げられます。

2. 指導の3段階|口頭指導・文書指導・業務改善命令

指導の3段階を示したフロー図
図2: 行政指導の3段階。大半は口頭指導で完結する。

行政の対応は、いきなり罰則ではありません。段階を踏んで進みます。2025年2月のガイドラインで、この流れが明文化されました。

第1段階: 口頭指導

項目 内容
形式 電話または来所での口頭連絡
内容 該当箇所の指摘と、修正の依頼
記録 行政側には記録が残るが、施術所側への文書交付はない場合が多い
対応 指摘箇所を修正し、完了を報告する

大半のケースはここで終わります。素直に修正すれば、それ以上の展開にはなりません

第2段階: 文書指導

項目 内容
形式 「指導書」「改善指導について」等の文書が交付される
内容 指摘事項、根拠法令、改善期限が明記される
記録 正式な行政記録として残る
対応 期限内に改善し、改善報告書の提出を求められる

口頭指導に対応しなかった場合や、指摘内容が重大な場合にこの段階に進みます。期限が明記されているため、必ず守ってください

第3段階: 業務改善命令

項目 内容
形式 行政処分としての命令
根拠 2025年2月新ガイドラインで対象範囲が明確化
不履行時 柔道整復師法第30条第5号により30万円以下の罰金
📚 罰金に至るケースは稀

実務上、いきなり罰金が科されることはほぼありません。指導を無視し続けた場合にのみ、この段階に進みます
逆に言えば、初動で誠実に対応すれば第1段階で完結します。指導が来たときの対応品質が、その後をすべて決めると考えてください。

規制の全体像と罰則の詳細は、【2025年2月施行】柔整・あはき広告ガイドライン完全解説で解説しています。

3. 連絡が来たら最初にやるべき5つのこと

初動5ステップを示した図
図3: 保健所から連絡が来たときの初動5ステップ。

ここが本記事の核心です。連絡を受けた直後の30分で、その後の展開が決まります

ステップ1: 指摘内容を正確に記録する

電話を受けたら、その場で以下を必ずメモしてください。後から確認しようとしても、担当者が不在だったり、記憶が曖昧になったりします。

記録すべき項目 確認の仕方
担当者の所属・氏名 「恐れ入りますが、ご担当者様のお名前を伺えますか」
指摘の対象媒体 「どの媒体についてのご指摘でしょうか」(HP・看板・チラシ等)
指摘された具体的な表現 「どの箇所の表現でしょうか。念のため読み上げていただけますか」
根拠となる法令・条文 「根拠となる条文をお教えいただけますか」
改善期限 「いつまでに対応すればよろしいでしょうか」
報告方法 「改善後のご報告は、どのような形式が必要でしょうか」

ステップ2: その場で反論しない

指摘内容に納得できなくても、電話口で議論しないでください。理由は3つあります。

まずは「ご指摘ありがとうございます。確認のうえ、対応いたします」と受け止めてください。反論の機会は後から作れます

ステップ3: 該当箇所を即座に非公開にする

指摘された箇所は、その日のうちに非公開または削除してください。修正案を考えてから直すのではなく、まず消すのが正解です。

媒体 初動対応 所要時間
ホームページ 該当箇所を削除、または該当ページを非公開 10〜30分
GBP投稿 該当投稿を削除 5分
SNS投稿 該当投稿を削除またはアーカイブ 5分
院内POP 該当箇所を撤去 即時
屋外看板 撤去に時間がかかる場合、まず期限と工程を保健所に伝える 要相談
✅ 「すでに削除しました」は強い

改善報告の際に「ご指摘の当日に削除しました」と言えると、行政側の評価は大きく変わります。スピードそのものが誠実さの証拠になります。
完璧な代替表現を考えてから直そうとすると、対応が遅れます。まず消して、代替表現は後から入れれば十分です。

ステップ4: 同種の表現を全媒体で洗い出す

指摘されたのは氷山の一角である可能性が高いです。同じ表現が他の媒体にも残っていないかを確認してください。

たとえば「肩こり」を指摘された場合、以下をすべて確認します。

指摘された媒体だけ直して報告すると、後日別の媒体で再指摘を受けることになります。それは行政から見ると「対応が不十分」と映ります。

ステップ5: 対応の記録を残す

いつ・何を・どう直したかを記録してください。これが改善報告書の材料になります。

日付 媒体 指摘された表現 対応内容 担当
8/4 HP メニュー欄 肩こり改善コース 「手技療法(肩部)」に変更 院長
8/4 GBP 投稿(6/12) 骨盤矯正で根本改善 投稿を削除 院長
8/5 院内POP 各種保険取扱 撤去。新POP作成中 受付

この表をExcelやスプレッドシートで作っておけば、そのまま改善報告書に転記できるでしょう。記録は「対応した証拠」としても機能します。

電話対応のスクリプト

実際にどう受け答えすればいいか、そのまま使える形で示します。この用紙を電話機の横に置いておくだけで、初動の質が変わります

📞 受電時のスクリプト

保健所「○○保健所の○○と申します。○○接骨院のホームページについて確認したいことがありまして」

院長「お世話になっております。院長の○○です。恐れ入りますが、正確に記録したいので、ご担当部署とお名前をもう一度お伺いできますでしょうか」

(記録する)

院長「ご指摘の箇所を正確に把握したいのですが、どのページのどの表現でしょうか。読み上げていただけますと助かります」

(該当箇所をメモ)

院長「承知しました。根拠となる条文をお教えいただけますでしょうか。院内で共有し、同種の表現がないか点検いたします」

院長いつまでに対応すればよろしいでしょうか。また、改善後のご報告はどのような形式が必要でしょうか」

院長「ご指摘ありがとうございます。本日中に該当箇所を削除し、他の媒体も点検のうえ、あらためてご報告いたします」

このスクリプトの要点は、指摘を受け止めつつ、必要な情報を漏れなく引き出している点です。反論も言い訳もしていませんが、「点検します」「報告します」と主体的に動く姿勢を示しています。

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4. 指導内容別の対応手順|広告・施術録・掲示物

指導内容別の対応パターンを示した図
図4: 指導内容別の対応パターン。

指導の対象は広告だけではありません。よくある3つのパターン別に手順を整理します。

4-1. 広告表現に関する指導

もっとも多いパターンです。対応手順は次のとおりです。

  1. 該当表現を削除 — その日のうちに実施
  2. 同種表現を全媒体で検索 — Ctrl+Fやサイト内検索を活用
  3. 代替表現に差し替え — 業務範囲内・法定施術行為名を使う
  4. スタッフに共有 — 同じ表現を再度使わないよう周知
  5. 報告 — 修正前後を対比した形で報告する

代替表現の具体例は、整骨院で使ってはいけない症状名・療法名一覧に100語まとめています。指導を受けた表現がそのまま載っている可能性が高いです。

4-2. 施術録・記録に関する指導

療養費請求に関連して、施術録の記載不備を指摘されるケースがあります。

よくある指摘 対応
負傷原因の記載が不十分 「いつ・どこで・何をして」を具体的に記載する運用に変更
施術内容の記載が画一的 実際に行った施術を個別に記載する
同意書の取得記録がない 骨折・脱臼の同意取得フローを整備し、記録を残す
保存期間を満たしていない 施術完結日から5年間の保存体制を整える

施術録は指導を受けてから遡って直すことができません。今後の運用を改めることが対応になります。「本日以降、以下の運用に変更しました」と報告するのが正しい形です。

4-3. 掲示物に関する指導

施術所には、法令上掲示が必要なものがあります。逆に、掲示してはいけないものも存在します。

種別 内容
掲示すべきもの 施術者の氏名、施術時間、自費メニューの料金、療養費支給申請に関する説明
掲示してはいけないもの 効果を保証する表現、体験談、他院との比較、業務範囲外の症状名

4-4. 立入検査を受ける場合

文書指導の前後で、担当者が施術所を訪問して確認を行うことがあります。柔道整復師法第26条に基づく報告徴収・立入検査です。

確認されること 準備しておくもの
開設届の内容と実態の一致 開設届の写し、変更届の写し
施術者の資格 柔道整復師免許証(原本または写し)
院内掲示物 施術者氏名、施術時間、自費料金の掲示
施術録 直近の施術録一式
広告物 チラシ、看板の写真、ホームページ

訪問日時は事前に連絡されるのが通常です。抜き打ちで来ることは稀ですが、その場合でも正当な理由なく拒否することはできません

✅ 訪問を受けるときの心構え

担当者は摘発に来ているのではなく、状況を確認しに来ています。分からないことは「確認して後日ご報告します」と答えて構いません。
その場で無理に取り繕うより、正確な情報を後から出す方が確実です。また、この機会にグレーゾーンの表現について相談してしまうのも有効です。担当者が目の前にいるときが、最も的確な回答を得られるタイミングです。

5. 改善報告書の書き方とテンプレート

改善報告書の構成6項目を示した図
図5: 改善報告書に含めるべき6項目。

文書指導を受けた場合、改善報告書の提出を求められます。書式が指定されていることもありますが、指定がない場合は以下の構成で作成してください。

改善報告書に含めるべき6項目

項目 書く内容
① 表題・宛先・日付 「改善報告書」/ ○○保健所長 殿 / 提出日
② 施術所情報 名称・所在地・開設者氏名・連絡先
③ 指導の概要 指導日、指導方法(口頭/文書)、指摘事項
④ 改善内容 指摘ごとに「修正前 → 修正後」を対比して記載
⑤ 改善日 各項目をいつ改善したか
⑥ 再発防止策 今後どのような体制で防ぐか

テンプレート

📄 改善報告書 記載例

改善報告書

○○保健所長 殿
令和○年○月○日

施術所名称: ○○接骨院
所在地: ○○市○○町○-○-○
開設者氏名: ○○ ○○
連絡先: 000-000-0000

1. 指導の概要
令和○年○月○日、貴所より当施術所の広告表現に関しご指導をいただきました。指摘事項は以下のとおりです。
(1) ホームページ内に業務範囲外の症状名の記載があること
(2) 施術効果を保証する表現があること

2. 改善内容
(1) ホームページ 施術メニューページ
 修正前:「肩こり改善コース」
 修正後:「手技療法(肩部)」
 改善日: 令和○年○月○日

(2) ホームページ トップページ
 修正前:「根本から改善します」
 修正後:(削除)
 改善日: 令和○年○月○日

3. 自主点検の実施
ご指摘を受け、ホームページ・Googleビジネスプロフィール・院内掲示物・チラシについて全件点検を実施し、同種の表現がないことを確認しました。

4. 再発防止策
(1) 広告表現に関する院内チェックリストを作成し、掲載前の確認を義務化しました。
(2) 全媒体の点検を毎月1回実施する運用を開始しました。
(3) スタッフに対し、広告規制に関する院内研修を実施しました(令和○年○月○日実施)。

以上

報告書を書くときの3つのコツ

コツ1: 修正前後を必ず対比で書く

「修正しました」だけでは、何をどう直したのか行政側が確認できません。修正前の表現をそのまま記載し、修正後と並べて書いてください。自分に不利な内容を隠さないことが、かえって信頼につながります。

コツ2: 指摘されていない点も報告する

自主点検で見つけて直した箇所も、報告書に含めてください。「指摘された箇所だけ直した」より「全体を見直した」方が、再発防止の意思が伝わります

コツ3: 再発防止策は具体的に書く

「今後注意します」では不十分です。チェックリストの作成、点検頻度、研修の実施日など、検証可能な事実を書いてください。

❌ 弱い書き方 ✅ 強い書き方
今後は広告表現に十分注意いたします 掲載前チェックリストを作成し、院長承認を必須としました
定期的に確認します 毎月第1月曜に全媒体を点検する運用を開始しました
スタッフに周知します 令和○年○月○日に院内研修を実施し、全スタッフに周知しました

6. 再発を防ぐ院内体制のつくり方

再発防止の5つの仕組みを示した図
図6: 再発を防ぐ5つの院内の仕組み。

指導への対応が終わったら、同じことが二度と起きない仕組みを作ります。ここまでやって初めて対応が完結します。

仕組み1: 掲載前チェックリスト

新しく何かを掲載・投稿する前に確認すべき項目を、紙1枚にまとめました。

# 確認項目
1 骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷の5傷病の範囲内か
2 効果・結果を約束する表現がないか
3 他院との比較や優位性の訴求がないか
4 施術者個人の経歴・技能に触れていないか
5 独自療法名・別資格の業務名を使っていないか
6 患者さんの体験談を掲載していないか
7 保険関連の表記が正確か(「各種保険取扱」等を使っていないか)
8 営業時間・スタッフ数など、記載内容が実態と一致しているか

この8項目を印刷して、パソコンの横に貼っておくだけでも効果があります。より詳細な自主監査手順は、整骨院が罰金30万円を回避する院内チェックリスト10項目にまとめています。

仕組み2: 承認フローの明文化

スタッフが投稿や掲示物を作る場合、誰の承認が必要かを明確にします

対象 承認 理由
テンプレの範囲内の投稿 不要 事前に院長が承認した文面のため
テンプレ外の新規投稿 院長承認 新しい表現はリスクがある
口コミへの返信 院長承認 個別対応のため定型化しにくい
チラシ・看板・POP 院長承認 修正コストが高く、長期間残る
ホームページの変更 院長承認 全ページに影響しうる
⚠️ 広告責任は開設者にある

スタッフが作った投稿や掲示物であっても、広告責任は施術所の開設者(通常は院長)が負います。「スタッフが勝手にやった」は通用しません。
だからこそ、承認フローを作ることは院長自身を守る仕組みになります。

仕組み3: 定期点検の固定化

月1回、日付を決めて全媒体を点検します。所要時間は慣れれば20〜30分です。

  1. 毎月第1月曜など、固定の日を決める
  2. カレンダーに繰り返し予定として登録する
  3. 点検した記録を残す(日付・点検者・結果)

点検記録を残しておくと、万が一再度指導を受けたときに「継続的に自主点検していた」証跡になります。これは情状において大きな意味を持ちます。

仕組み4: 判断に迷ったら保健所に聞く

グレーゾーンの表現は必ず出てきます。そのときは事前に保健所に相談してください。相談は無料で、自治体によっては相談フォームを設けています。

仕組み5: 指導後3ヶ月の重点期間を設ける

指導を受けた直後は、行政側が改善状況を再確認する可能性が高い時期です。この3ヶ月を意識的な重点期間として設計しておくと、確実に定着します。

時期 やること 目的
1ヶ月目 週1回、全媒体を点検する 見落としの発見。この段階で残存を潰す
2ヶ月目 隔週で点検。スタッフ研修を実施 院内への定着。属人化を防ぐ
3ヶ月目 月1回の通常運用に移行 継続可能な頻度に落とし込む

ポイントは、3ヶ月後に「月1回」へソフトランディングさせることです。最初から月1回だと油断が生まれ、週1回のままだと続きません。

体制づくりのチェックリスト

ここまでの内容を、確認用にまとめます。すべてに「はい」と答えられる状態であれば、再発防止の体制は整ったと言えるでしょう。

# 確認項目 状態
1 掲載前チェックリストが紙またはデータで存在する
2 そのチェックリストをスタッフ全員が見られる場所にある
3 何を誰が承認するかが明文化されている
4 月次点検の日がカレンダーに登録されている
5 点検の記録を残す様式がある
6 スタッフ研修を実施し、記録を残した
7 制作会社・広告代理店に規制準拠を発注条件として伝えた
8 グレーゾーンの相談先(所轄保健所の連絡先)を控えてある

7. やってはいけない対応3つ

やってはいけない対応3つを示した図
図7: 指導を受けたときにやってはいけない対応3つ。

初動を誤ると、口頭指導で済んだはずの案件が文書指導に進みます。

NG1: 無視する・放置する

最悪の対応です。行政は指導した記録を残しています。改善が確認できなければ、次の段階に進む理由が積み上がるだけです。

忙しくてすぐに対応できない場合は、その旨を連絡してください。「看板の撤去は業者手配が必要で、○月○日になります」と伝えれば、行政側も事情を理解します。無言で放置することだけは避けてください。

NG2: 一部だけ直して「対応済み」と報告する

指摘された1箇所だけ直し、同じ表現が他の媒体に残ったまま報告すると、後日それが発覚して信頼を失います

行政側は、報告を受けた後に改めて確認を行っています。ホームページを見れば、修正されていない箇所はすぐに判明するでしょう。中途半端な対応は、対応しないより印象が悪くなります

NG3: 感情的に反論する

「他院もやっている」「今まで何も言われなかった」といった反論は、いずれも法的な意味を持ちません。

よくある反論 なぜ通らないか
他院も同じ表現を使っている 他院の違反は自院の適法性の根拠にならない
今まで指導されなかった 指導がなかったことは適法性を意味しない
制作会社が作ったもので自分は知らない 広告責任は開設者が負う
自費メニューだから対象外のはず 広告規制は保険/自費で区別されない
✅ 正当な確認は問題ない

ただし、事実誤認がある場合に確認することは正当です。感情的に反論するのではなく、事実ベースで確認してください。
例:「ご指摘のページは3年前に閉鎖しており、現在は公開しておりません。検索結果のキャッシュが残っている状態と思われます。確認いただけますでしょうか」
このような形であれば、行政側も再確認してくれます。

8. よくある質問FAQ

指導についての誤解3つを示した図
図8: 保健所の指導についてよくある3つの誤解。

Q1. 保健所から電話が来ましたが、担当者に折り返す時間がありません

可能な限り早く折り返してください。当日が難しければ、翌営業日には連絡を入れます。連絡がつかない状態が続くと、文書での通知に切り替わる可能性があります。折り返しの際は、指摘内容を正確に聞き取るための時間(10〜15分程度)を確保してから電話してください。

Q2. 指導内容に納得できません。争えますか?

事実誤認がある場合は、事実を示して確認を求めることができます。ただし、法令解釈そのものを争うのは現実的ではありません。柔道整復師法第24条は広告できる事項を限定列挙しており、解釈の幅が狭いためです。どうしても納得できない場合は、行政書士や弁護士など専門家への相談を検討してください。

Q3. 制作会社が作ったホームページを指摘されました。責任は制作会社では?

行政に対する広告責任は施術所の開設者が負います。制作会社との契約上の責任分担は別問題で、行政対応とは切り離して考えてください。まず改善を行い、その後に制作会社と協議するのが順序です。今後は、制作を依頼する際に「柔整の広告ガイドラインに準拠すること」を発注条件に明記しておくと防げます。

Q4. 改善報告書の書式は指定されますか?

自治体によります。指定書式がある場合は必ずそれを使ってください。指定がない場合は、本記事第5章のテンプレートを参考にA4で1〜2枚にまとめれば十分です。迷ったら担当者に「書式のご指定はありますか」と確認してください。聞くこと自体が誠実な対応と受け取られます。

Q5. 指導を受けたことは公表されますか?

口頭指導・文書指導の段階で公表されることは、通常ありません。業務改善命令など行政処分に至った場合は、自治体によって公表されることがあります。これも、初動で対応すべき理由の一つです。

Q6. 過去の指導歴は残りますか?

行政側の記録としては残ります。ただし、それが直ちに不利益になるわけではありません。むしろ重要なのは、指導後に改善し、再発していないという記録です。誠実に対応した履歴は、次に何かあったときにプラスに働きます。

Q7. 通報したのが誰か知ることはできますか?

できません。行政は通報者の情報を開示しません。また、追及しようとすること自体が無意味です。誰が通報したかではなく、なぜ指摘される状態だったかに目を向けてください。通報されたということは、客観的に見て問題のある表現があったということです。

Q8. 指導を受けた後、いつまで気をつけていればいいですか?

期限はありません。広告規制は継続的に守るべきルールです。ただし、指導直後の3〜6ヶ月は行政側が改善状況を確認する可能性が高い時期なので、特に丁寧に運用してください。その後は月1回の定期点検で十分です。

9. まとめ|指導は終わりではなく仕組みを作る機会

指導後の行動を時間軸で整理した図
図9: 指導後の行動タイムライン。当日・今週中・今月中の3段階。

保健所からの指導は、経営者にとって強いストレスです。しかし冷静に見れば、行政は罰することが目的ではなく、是正することが目的です。初動で誠実に対応すれば、ほぼすべてのケースは第1段階で完結します。

連絡が来た当日にやること

  1. 指摘内容を正確に記録する:担当者名・対象媒体・具体的表現・根拠条文・期限・報告方法
  2. その場で反論しない:「確認のうえ対応します」と受け止める
  3. 該当箇所を即座に削除する:代替表現は後回しでよい。まず消す

今週中にやること

  1. 同種表現を全媒体で洗い出す:HP・GBP・SNS・チラシ・POP・看板・外部ポータル
  2. 対応記録を表にまとめる:日付・媒体・修正前・修正後・担当
  3. 改善報告書を作成する:修正前後を対比し、再発防止策を具体的に書く

今月中に仕組みにすること

  1. 掲載前チェックリストを作る:8項目を紙1枚にまとめて掲示する
  2. 承認フローを明文化する:何を誰が承認するかを決める
  3. 月次点検を固定する:毎月第1月曜など、日を決めてカレンダー登録

指導を受けた院は、その後むしろ規制対応の水準が高くなる傾向にあります。指摘されたという事実より、その後どう変わったかが評価されます。この記事の手順に沿って対応すれば、指導は院の体制を整える契機に変わります。

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