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整骨院とステマ規制|口コミ依頼が違法になる境界線

著者: インフォサクセス(Infosuccess) 2026年8月15日 公開 読了 約14分
ステマ規制と口コミ依頼のバナー。「依頼はOK」と「誘導はNG」を対比し、対価による依頼に×
⚠️ この記事を読むべき方

整骨院・接骨院で口コミを増やそうとしている方で、以下のいずれかに当てはまる方:

「口コミを書いてくれた方に割引をしている」「スタッフや家族に口コミを書いてもらった」「業者に口コミ獲得を依頼している」

2023年10月からステルスマーケティング規制が施行されました。これは柔整の広告規制とは別系統の、景品表示法による規制です。違反すると措置命令・課徴金の対象になります。
本記事では、何がステマに該当するのか、口コミ依頼が違法になる境界線、割引と引き換えの是非、業者利用のリスクまでを実務目線で解説します。

1. ステマ規制とは|2023年10月施行の景表法改正

柔整の広告規制とステマ規制の関係を示した図
図1: 口コミ運用にかかる2つの規制。

まず制度の位置づけを整理します。これは柔整の広告規制とは別の法律です

1-1. 2つの規制の関係

項目 柔整の広告規制 ステマ規制
根拠法 柔道整復師法 第24条 景品表示法 第5条第3号
所管 厚生労働省・保健所 消費者庁
対象 施術所の広告 一般消費者向けの表示全般
処分 行政指導 → 業務改善命令 → 罰金30万円以下 措置命令 → 課徴金
施行 2025年2月に基準明確化 2023年10月1日
⚠️ 両方を同時に守る必要がある

柔整の広告規制をクリアしても、景品表示法で引っかかることがあります。逆もあります。
たとえば「口コミを書いてくれたら500円引き」という施策は、柔整法上の問題は薄いですが、ステマ規制に抵触しうる典型例です。

1-2. 何が禁止されたのか

景品表示法第5条第3号により、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が不当表示として指定されました。

📚 一言でいうと

事業者が関与しているのに、それを隠して第三者の感想のように見せることが禁止されました。
ポイントは「嘘を書いたか」ではありません。内容が事実でも、事業者の関与を隠していれば違反になります。

1-3. 処分の対象は事業者

立場 処分の対象か
事業者(施術所) 対象になる
投稿した消費者 対象にならない
仲介した業者 直接の対象ではないが、事業者側の責任は残る

「投稿したのは患者さんだから」という理屈は通りません。関与した事業者が責任を負います

2. 何がステマに該当するのか|2つの判断基準

ステマ判断の2ステップを示したフロー図
図2: ステマ該当性の判断2ステップ。

消費者庁の運用基準では、次の2段階で判断されます。

2-1. 判断の2ステップ

ステップ 問い
① 事業者の表示か 事業者が表示内容の決定に関与したと認められるか
② 判別が困難か 一般消費者が事業者の表示だと分かるか

①がYESで、②が「分からない」ならステマに該当します。逆に、①がNOであれば規制対象外です。

2-2. 「関与」と判断されるケース

ケース 関与の有無
投稿内容を指定した 関与あり
高評価を条件に対価を渡した 関与あり
「星5でお願いします」と依頼した 関与あり
下書きを渡して投稿してもらった 関与あり
スタッフに業務として投稿させた 関与あり
「よろしければご感想をお聞かせください」と依頼 関与なし
患者が自発的に投稿した 関与なし
✅ 依頼すること自体は違法ではない

ここが最も誤解されている点です。「口コミを書いてください」とお願いすること自体は問題ありません。
問題になるのは、内容に介入すること。「良い評価で」「こう書いて」と誘導した瞬間に、事業者の表示になります。

2-3. 「判別困難」とは

状況 判定
「当院からの依頼で投稿しています」と明記 判別可能。問題なし
「PR」「広告」と表示 判別可能
一般の患者の感想に見える形で投稿 判別困難。違反
スタッフが患者を装って投稿 判別困難。違反

つまり、関与したなら明示すればよいのです。ただし口コミの場合、「当院の依頼で書いています」と書かれた口コミに信頼性はほぼありません。実質的には「関与しない」が唯一の選択肢になります。

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3. 口コミ依頼が違法になる境界線

関与ありと判断されるケースを示した図
図3: 「関与あり」と判断されるケース。

実務で最も判断に迷う部分です。依頼の仕方で結論が変わります

3-1. 依頼文の可否

❌ NG 問題
「星5をつけていただけると嬉しいです」 評価を指定している
「良い口コミをお願いします」 内容を誘導している
「こんな感じで書いてください」+ 例文 内容の決定に関与
「不満があれば直接お伝えください。口コミには良い点を」 ネガティブを封じている
✅ OK 理由
「よろしければご感想をお聞かせください」 内容は本人に委ねている
「Googleに口コミを投稿いただけると励みになります」 投稿の依頼のみ。内容に触れていない
「率直なご意見をいただけますと幸いです」 むしろ中立性を担保している

3-2. 「率直に」と添えるのが安全

✅ 推奨する依頼文

「当院をご利用いただきありがとうございました。
よろしければ、Googleに率直なご感想をお聞かせください。
今後の運営の参考にさせていただきます。
▼ こちらから投稿できます
(口コミ投稿用のリンクまたはQRコード)」

「率直な」の一語が、内容に介入していないことを示します。 低評価が来るリスクはありますが、それが本来あるべき状態です。

3-3. 声かけのタイミング

タイミング 評価 備考
会計時に一律で案内 全員に同じ案内。選別していない
院内にQRコードを掲示 自発的な投稿を促すだけ
満足していそうな患者だけに声をかける 選別は「関与」に近づく
不満そうな患者には案内しない 意図的な偏りを作っている
⚠️ 「選別」もグレーになりうる

高評価を書いてくれそうな人だけに依頼するのは、直接的な内容指定ではありません。しかし結果として表示内容を操作していると評価される可能性があります。
全員に一律で案内するのが、最も安全かつ運用も楽です。

4. 割引・特典と引き換えにする是非

口コミ依頼文の可否を示した図
図4: 依頼文の可否と推奨表現。

「口コミを書いたら500円引き」という施策は、業界で広く行われています。結論から言うと、リスクが高いです。

4-1. 対価と引き換えの構造

パターン 判定 理由
高評価を条件に割引 明確に違反 内容を指定した対価の提供
口コミ投稿を条件に割引 リスクが高い 対価があると好意的に書く動機が生じる
投稿の有無にかかわらず全員に割引 問題なし 口コミと対価が結びついていない
対価なしで依頼 問題なし 内容に介入していない
⚠️ 2番目が最も判断が分かれる

「内容は問わず、投稿してくれたら割引」という形は、形式上は内容を指定していません。しかし実質的に、対価を受け取る側には好意的に書く動機が生じます。
消費者庁の運用基準でも、対価の提供は「関与」を推認させる要素とされています。安全側に倒すなら、対価と結びつけないでください。

4-2. 柔整特有の追加リスク

ステマ規制とは別に、割引そのものが柔整の広告規制に触れる可能性があります。

問題 内容
誘引性の強化 対価による誘引は、誇大広告と評価されうる
療養費との関係 保険施術に対する値引きは、療養費の取扱い上問題になりうる
価格表示の問題 割引を表示するなら通常価格と期限の併記が必要

特に2番目は見落とされがちです。療養費支給対象の施術について値引きを行うと、一部負担金の適切な徴収という観点で問題になる可能性があります。割引を行うなら自費メニューに限定してください。

料金表記のルールは、整骨院の料金表の正しい書き方で解説しています。

4-3. 対価を使わずに口コミを増やす

方法 ポイント
会計時に一律で案内する 「率直なご感想を」と添える
QRコードを受付に置く 投稿のハードルを下げる
全件に丁寧な返信をする 返信がある院には投稿が集まりやすい
施術後の説明を丁寧にする 満足度そのものを上げる

投稿の摩擦を減らすことが本質です。QRコード1枚で、投稿率は大きく変わります。

5. スタッフ・家族・知人による投稿

声かけタイミングの可否を示した図
図5: 声かけのタイミングと選別のリスク。

最もリスクが高い類型です。明確に違反となる可能性が高いため、絶対に避けてください。

5-1. スタッフによる投稿

ケース 判定
院長がスタッフに投稿を指示 明確に違反
スタッフが患者を装って投稿 明確に違反
「自主的に」書いたが、院の関与が推認される 違反の可能性が高い
⚠️ 「自主的」でも関与を推認される

消費者庁の運用基準では、従業員による投稿は、事業者の関与があったと推認されやすいとされています。
「指示していない」という主張は通りにくく、雇用関係があること自体が関与の推認要素になります。

5-2. 家族・知人による投稿

ケース 判定
院長の家族が患者として投稿 実際に施術を受けていなければ虚偽
知人に頼んで投稿してもらう 関与あり。違反
家族が実際に患者として施術を受け、自発的に投稿 グレー。関与がなければ形式上は可

最後のケースも推奨はしません。関係性が明らかになった場合、信頼を大きく損ないます。

5-3. 発覚するリスク

発覚経路 内容
投稿者のプロフィール Googleアカウントの他の投稿履歴から推測される
投稿の時期の偏り 短期間に集中すると不自然
文体の類似 同じ人が書いた形跡が残る
退職者からの告発 実務上、最も多い発覚経路
同業他院からの通報 不自然な口コミは目に留まる
⚠️ Googleのポリシー違反でもある

自作自演の口コミは、景品表示法だけでなくGoogleのポリシーにも違反します。発覚した場合、口コミの削除だけでなくビジネスプロフィール自体が停止されるリスクがあります。
行政処分より、こちらの方が実務上のダメージは大きいかもしれません。

6. 口コミ獲得業者を使うリスク

対価と引き換えの可否を示した図
図6: 割引・特典と引き換えにする是非。

「口コミ代行」「MEO対策」を謳う業者からの営業を受けたことがある方も多いはずです。サービス内容を慎重に確認してください

6-1. 危険な業者の見分け方

営業トーク リスク
「口コミを○件保証します」 自作自演の可能性が高い
「星4.5以上を維持します」 評価の操作。明確に違反
「低評価を削除できます」 ポリシー違反の削除代行
「1件○円で口コミを集めます」 対価による投稿。違反
「口コミ依頼の仕組みづくりを支援します」 内容次第では問題なし

6-2. 責任は施術所が負う

⚠️ 「業者がやったこと」は通用しない

景品表示法の処分対象は表示を行った事業者です。業者に委託していても、施術所が処分を受けます
委託先の行為を把握していなかった、という主張は認められにくいのが実情です。契約前にサービス内容を具体的に確認してください。

6-3. 契約前に確認すべき5項目

# 確認事項
1 口コミは誰が投稿するのか(実際の利用者か)
2 投稿者に対価が支払われるか
3 投稿内容に業者が関与するか
4 件数や評価を保証していないか
5 景品表示法への準拠を契約書に明記できるか

5番目を書面で求めたときに難色を示す業者は、その時点で契約を見送るべきです。

7. 柔整の広告規制との二重の制約

スタッフ・家族の投稿リスクを示した図
図7: スタッフ・家族による投稿のリスク。

口コミ運用には、ステマ規制と柔整の広告規制が同時にかかります

7-1. それぞれの守備範囲

場面 ステマ規制 柔整の広告規制
口コミの集め方 対象 対象外
口コミの内容(患者が書いたもの) 関与がなければ対象外 対象外
口コミへの返信 対象外 対象
口コミをHPに転載 対象外 対象(体験談として禁止)
「口コミ★4.8」と広告に表示 対象外 対象(比較優良広告)
⚠️ 口コミを「使う」段階で柔整法がかかる

適法に集めた口コミであっても、それを広告に転載したり評価を掲示したりすると、柔整の広告規制に抵触します。
「お客様の声」としてHPに載せる → 体験談で禁止
「口コミ★4.8」とチラシに書く → 比較優良広告
口コミはGoogle上に置いたままにするのが原則です。

7-2. 返信も広告に該当する

口コミへの返信は施術所からの公開された発信であり、柔整の広告規制の対象です。

❌ NG返信 問題
「肩こりが良くなって何よりです」 業務範囲外 + 効果を認める
「次回はもっと楽になりますよ」 効果保証
「他院より丁寧を心がけています」 比較優良広告

返信の書き方は、整骨院のGoogle口コミ返信 完全マニュアルに例文40選をまとめています。

7-3. 二重チェックの手順

段階 確認する法令 チェック内容
集める 景品表示法 内容に介入していないか / 対価と結びつけていないか
返信する 柔道整復師法 効果・症状名・比較表現を使っていないか
使う 柔道整復師法 転載・評価表示をしていないか

8. よくある質問FAQ

口コミ業者のリスクを示した図
図8: 口コミ獲得業者を使うリスク。

Q1. 口コミを依頼すること自体が違法ですか?

いいえ。依頼すること自体は問題ありません。違法になるのは、内容に介入した場合です。「星5でお願いします」「良い口コミを」と誘導すると事業者の表示になります。「よろしければ率直なご感想を」であれば問題ありません。

Q2. 「口コミを書いたら500円引き」はダメですか?

リスクが高いため推奨しません。対価の提供は「関与」を推認させる要素とされています。形式上は内容を指定していなくても、対価を受け取る側には好意的に書く動機が生じます。加えて、療養費対象の施術に対する値引きは別の問題も生じます。

Q3. スタッフが自主的に口コミを書くのもダメですか?

避けてください。従業員による投稿は、事業者の関与があったと推認されやすいとされています。「指示していない」という主張は通りにくく、雇用関係があること自体が推認要素になります。また、退職者からの告発が実務上最も多い発覚経路です。

Q4. 過去に自作自演の口コミを投稿してしまいました

可能であれば削除してください。投稿者本人のアカウントから削除できます。放置するより、早期に是正する方がはるかに安全です。また、今後は対価も内容指定も伴わない依頼方法に切り替えてください。

Q5. 業者に依頼していますが、何をしているか把握していません

至急確認してください。景品表示法の処分対象は表示を行った事業者、つまり施術所です。業者の行為であっても施術所が処分を受けます。第6章の5項目を業者に確認し、明確な回答が得られない場合は契約の見直しを検討してください。

Q6. 良い口コミをホームページに転載したいのですが

できません。これは柔整の広告規制の問題です。患者さんの体験談は、ガイドラインで明示的に禁止されている類型にあたります。ステマ規制をクリアしていても、転載した時点で柔整法に抵触します。口コミはGoogle上に置いたままにしてください。

Q7. 「口コミ★4.8」とチラシに書くのは?

書けません。比較優良広告に該当します。他院より優れていることを示唆する表現だからです。評価の数値を広告に使うことは避けてください。

Q8. 低評価を消したいのですが、削除代行業者を使えますか?

推奨しません。正規の削除申請は、Googleのポリシー違反に該当する場合のみ通ります。それ以外の方法で削除を試みる業者は、ポリシー違反の手法を用いている可能性があります。ビジネスプロフィール自体が停止されるリスクを負うことになります。正規の申請手順は別記事で解説予定です。

9. まとめ|依頼はできる。誘導してはいけない

段階別のチェック法令を示した図
図9: 段階別にチェックすべき法令。

ステマ規制の要点は一言でまとめられます。「依頼」は自由、「誘導」は違反。

口コミを書いてくださいとお願いすることに問題はありません。問題になるのは、評価を指定する、内容を指定する、対価と引き換えにする——つまり内容の決定に関与することです。

本日中に確認すること

  1. 依頼文を確認する:「星5で」「良い口コミを」と書いていないか
  2. 特典との紐付けを外す:「口コミで割引」をやめる
  3. スタッフの投稿がないか確認:あれば削除を検討

今週中にできること

  1. 依頼文を「率直なご感想を」に統一:第3章の推奨文に置き換える
  2. QRコードを受付に設置:投稿の摩擦を減らす
  3. 会計時の一律案内をルール化:選別しない運用にする

今月中に整えること

  1. 業者との契約内容を確認:第6章の5項目をチェック
  2. HPの口コミ転載を削除:柔整法上の体験談に該当する
  3. 「口コミ★4.8」等の表示を削除:比較優良広告に該当する

対価を使わなくても、口コミは増やせます。会計時の一律案内とQRコード、そして全件への丁寧な返信。この3つだけで十分に機能します。近道を選ぶと、行政処分とアカウント停止という二重のリスクを負うことになります。

口コミの集め方と返信、両方チェックできていますか?

集め方は景品表示法、返信は柔道整復師法。二重の制約がかかる領域です。
柔整ガイドAIは、GBP・HP・SNSを業種特化AIが自動診断するSaaSです。

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